2017年8月19日

情報操作

今朝の日本経済新聞の第1面は、「米労働市場に異変」という見出しの記事だった。サブタイトルは「働き盛りの男性の参加率 主要国最低」。

そこに添えられていたのが、トランプ大統領の写真と下記のグラフである。


これは、つねづね学生たちに対して注意しなければならないバイアスのかかったグラフだと示している作図の仕方の典型例である。

このグラフから言えることは、ここで示されたOECD5カ国の中で2016年では日本が最高(約95%)、米国が最低(約89%)、そしてフランス、ドイツ、英国の欧州勢がその中間(約92〜93%)であること。あと2009年から米国の数値がそれまでと比べて急に下がって来たこと。

ただ、この図を見ると、誰もが米国の近年の数値が他国に比べて極端に低いと感じるに違いない。その理由は明らかで、グラフの縦軸の数値が0から始まるところが88から始まっているからである。

新聞社が、こんな作図をしては絶対にだめ。社内で誰も指摘しないまま、こんなものが1面トップ記事に掲載されてしまう日本の新聞社のダメさ加減が出ている。

捏造ではないが、ある意味での「操作」であると捉えられてもしかたない。データの最も基本的な扱いすら分かっていないことが読者に明らかになってしまったね。