2017年6月29日

アマゾンとヤフー

先日、大学院のゼミにアマゾンのディレクターを務めている友人に来てもらった。アマゾンのビジネスの進め方や経営方針などについて話をしてもらったのだが、その顧客中心主義の考え方に改めて感心をした。

彼らのモットーは、「世界で最もお客様を大切にする企業であること」。他にない数々のサービスもすべていかに顧客に愛されるか、顧客の欲しいものを欲しいタイミングで欲しいように届けるか、ということを追求したことから生まれた。

かつてドラッカーが「企業の目的は顧客の創造」であると喝破したように、最終的にはどんなビジネスであろうと、一番顧客に求められている企業が勝つのである。シンプルだが、ビジネスの本質をついている。

このこと、多くの経営者が頭ではきっと分かっていてるはずだが、実際にそのために自分たちが何をなすべきか、何ができるのか、どのようにやるのかといったことを常に全力を振り絞って考え、そしてそれらを実行に移してる会社は決して多くない。

アマゾンの凄さは.そうした当たり前の考えを数十万にいる社員すべてが共有し、日々そのために頭も体もフル活動させていることなんだと思う。

先日、大手通販サイトのヤフーショッピングを運営するヤフーが出展者に対してサイト内の広告を出すように働きかけるページに「通常の検索結果と差異のないデザインで表示されるため、いかにも広告という印象を与えずにお客様にアピールできる」と記載していたことがわかった。

つまり広告である事を隠した広告である。どうも今はそうした行為を「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ぶらしい。フリマ(フリーマーケット)ならまだ分かるけど、ステマだって。へんてこりんな、嫌な言葉である。マーケティングの本質を何も理解しない人が作った言葉だ。こうした広告のことは、妙な横文字を使うまでもなく、詐欺広告または詐欺的広告と呼べばそれでいい。

日本で誰が使い始めたのか知らないが、「こういうのってステルスマーケティングって言うんだぜ、みんな」みたいなことを生かじりの浅薄な人物がどこかで言い始めたのだろう。それに乗る連中も連中だが。

ところで、彼からアマゾンについてゼミで話をしてもらったなかで一つ大変印象的だったのは、アマゾンは日々集まる膨大なデータを分析するに際して、決して顧客のプロフィール情報は用いないようにしているということだ。

なぜか。一つには、もしそうした個人情報が漏洩した際に受けるとてつもないマイナスのインパクトを考えてのリスクマネジメントがあるのだろう。そしてもう一つは、あくまで個人のプライバシーを尊重するという創設者であるジェフ・ベゾスの考えの表れである。

そうしたしっかりとしたポリシーがあり、それが守られているからこそ、アマゾンは信頼され続けているのだと思う。