2014年1月31日

議論する中国人学生、正解を探す日本人学生

昨日で今学期の授業が終わった。補講をしなければならなかったので、通常より一週伸びての終了である。

この学期、大学院のある授業でとても積極的な中国人学生たちがいた。ケースメソッドを用いた授業だったので、なるべく学生たちに発言してもらうように毎回促しながら進行したのだけど、人数でクラスの1割ほどの中国人学生の発言が全体の半分以上を占めていたように思う。発言の中には、自分のはっきりした考えがまとまっていないものも時折あったが、多くは正しいかどうかは別としてそれぞれはっきりした主張をなしていた。

クラスの中で、100パーセント完璧とはいえない日本語で自分の考えを積極的に述べていく中国人学生に対して、日本人学生の「おとなしさ」が気にかかったのは言うもでもない。彼らとて何も考えていないわけではなさそうだ。その証拠に、レポートを書かせるとそれなりにしっかりした考察を述べている。しかし、教室の中で手を挙げてそれを披露し、主張するものは多くはない。

自信がないのか、面倒くさいのか、そうした習慣がないだけなのか・・・。理由を尋ねる機会がなく終わってしまったのでよく分からないが、社会に出てからの個人としての勝負強さで、日本人学生は優秀な中国人学生に圧倒的に負けてしまう気がする。

正しいか間違っているかなど気にせず(そもそもそうした正解など多くの場合存在しないと思った方がよい)、他人と異なる自分ならではの考えを言葉にしていかなければ、「外」では理解されなし、仕事にもならないはずなんだけど。

授業の教室では発言しなくても、実社会にでたらガンガン主張ができるから自分は大丈夫、と思っているのだろうか。だとしたら、大間違いである。

2014年1月3日

信用するが、信頼できない

今日、帰省するはずだった。朝10時すぎの新幹線に乗り込むため、新横浜駅へ。

今朝は新聞は見たが、テレビやラジオのニュースは目に(耳に)することなく家を出て、駅で慌ててしまった。どうも様子がおかしい。新幹線がまったく走っていないのだ。7時9分発予定の新幹線が3時間経ってまだ駅のホームに到着していない。


原因は有楽町駅周辺での火災だという。線路が火災をおこしている訳ではないらしいが、消火活動のために鉄道の運行をすべて止めてしまったためだ。 運行再開の見込みはまったくたっていないとのことで、しかたなく予約をキャンセルして帰省を見合わすことになってしまった。

今朝の新聞一面に、東海道新幹線の運行システム「COMTRACK」のことが載っている。
平時の運行はコンピューターが制御し、緊急時でも10秒ほどで2〜3時間先の適切なダイヤを計算する。これを基に司令員がダイヤの乱れを収束させ、東京ー新大阪約550キロを一日330本以上が走る新幹線の遅れは平均30秒だ。
なるほど、採用されてる技術はすばらしい。ところで、新幹線の運行中止の原因は東京と品川間にある有楽町でのビル火災だ。関東一円が大地震などの災害に見舞われたわけではない。なぜ品川以西で新幹線を運行できなかったのか。

帰宅後、テレビのニュースに写っていたJRのある関係者によれば、「東京駅に列車が入らなければ車内清掃ができないから」というのが理由だとか。折り返しの列車の清掃ができないから運行できない(しない)というのは、Uターン客だけで何十万人もいるという状況下でとてもおかしな判断だ。

たとえ足下に多少ゴミが散らかっていても、そんなことは状況を車内アナウンスすれば客たちは理解してくれる。前の席のシートポケットに新聞やペットボトルが残っていようが、それよりとにかく列車を走らせてもらいたいのというのが利用客が求めることだ。

航空機であれば給油が必要となるが、鉄道は車両が線路にのっかっていれば走れるはずだ。JR自慢の運行管理システムCOMTRACKで、なぜ運行スケジュールを品川終点で組み直さなかったのか。これは技術の問題ではなく、運行サービス業を担っている企業の責任者の判断の問題である。

JRの技術は世界に誇るすばらしいもの。十分に信用できる。しかし、サービス企業としてのJRは信頼できない。