2015年9月19日

全盲の弁護士さんは、勇気と正義のひとだった

今日の「木村達也 ビジネスの森」には、ゲストに『全盲の僕が弁護士になった理由』(日経BP)の著者、大胡田誠さんをお招きした

大胡田さんは先天性の緑内障の罹患者として生まれ、12歳の時には完全に視力を失った。盲学校の中学生時代に見つけた一冊の点字本と出会ったことから、弁護士を目指す。絶望感の中で見つけた一冊の本が、大胡田さんを今へ導いた。

その本は、日本で最初に全盲で弁護士になった人が書いた本である。現在、大胡田さんは、その弁護士さんが所長を務める法律事務所に所属している。

日本の社会は盲人の方にとって生きやすい社会ですか、との僕の問いに、彼は点字ブロックなどハードな面での支援は進んでいるが、ソフト、つまり人の気持ちの面はまだまだそうではないと答えられた。

ひとつの例として、彼が同じく全盲の友人とドイツを旅したときのことを話してくれた。白杖を視覚障害者が使用するのは諸外国でも同じ。だから、その時もドイツの町を白杖を頼りに歩いていて、道に迷っていると多くの人が寄ってきては手助けを申し出てくれたという。

その旅先でのあるホテルでのこと。浴室に同じ形状のボトルが3つあるのに気がついた。触っただけでは違いが分からない。フロントに相談すると、スタッフがすぐさまやって来て、シャンプーには輪ゴム、リンスにはクリップをつけて触らせてくれた。そうしたことを自然にやってくれることに嬉しくなったという。

こんな感じで、大胡田さんはどんどん外に出ていく人。たくさんの案件を常に抱えながら、精力的に人を救うことに情熱を傾ける頼りになる弁護士さんだ。


 今朝の一曲は、オーティス・レディングで The Dock of the Bay。




2015年9月5日

バカにならなきゃ、見えてこないものがある

今朝の「木村達也 ビジネスの森」は、日産でGT-Rの開発責任者だった水野和敏さんにゲストに来ていただいた。


彼が書かれた『バカになれ!』(文藝春秋)は、とても威勢のいい本。水野さんのクルマづくりの哲学をひとことでいえば、「モノをつくるな。感動をつくれ」ということになる。

そして、人(会社)から言われたとおりにやって中途半端なものを作るなということ。自分の頭で「バカになって」本気で考えろと。その結果を否定され、叩きのめされる経験を乗り越えろと叱咤する。

それが本当のプロになるための必要条件であり、「いい失敗をした人間にしか未来は開けない」と断言する。同感だ。

水野さんは一昨年に日産を退社され、いまは台湾の自動車会社の役員を務めておられる。僕は台湾に自動車会社があることを知らなかった。だから、いただいた名刺に書かれている企業名も初見だったのだが、あの水野さんのこと、限られた人と金と時間できっとプロジェクトを実現するだろうと僕は期待している。


今朝の一曲は、ジョージ・ハリスン、My Sweet Lord。